作:神崎京介 画・題字:板垣しゅん
〈この物語は〉
伊豆・修善寺に暮らす貧しい父母のもとで生まれ育った高校生、山神大地。
中学三年生のとき、美しい英語教師と触れ合ったところから、彼は女性の心と体を巡る、長い長い旅を歩きはじめる。
同級生、アルバイト先で出会った旅館の若女将、高校の先輩、先輩のお母さん……。時には豊かな心を持った女性と、またある時には欲望をぶつけるだけを考える女性と出会いながら——。
『週刊現代』での連載で大反響を呼んだ神崎京介の青春官能大河ロマン『女薫の旅』が、今再び始まる!

第二十七章 受験と不和(13)

 淳子は素直だった。口答えすることもなく立ち上がって後ろを向き、恥ずかしそうに躯を震わせた。
「気持のいい朝だっていうのに、淳子の後ろ姿はすごくイヤらしく見えるな」
 淳子はモジモジとしている。板壁に手をついた。
 後ろ姿が艶めかしい。ちょっかいを出さず、眺めているだけでもいいくらいだ。
「両手を壁について……」
「あん、エッチ」
 淳子は手を壁につけたままため息をついた。
 スカートをたくし上げる。淳子が腰をよじらせる。もわりとした生温かい空気が、スカートの奥から湧き上がる。
 すかさず、彼女のお尻に顔を寄せた。
 肌色の厚手のストッキングに色気はない。編み目が粗く、ざらついていて、肌触りはけっして良いとはいえない。けれども、それに包まれた陰部を源とする生々しい匂いに、男の欲望は膨らんでいく。
 お尻から伝わるぬくもりが気持いい。ずっと触れていたいくらいに安心する。
 ストッキングを太もものあたりまで下ろした。
 太ももの裏側は無防備だ。
 白くて透明感のある肌は輝いている。
 濃いピンクのパンティは、お尻をしっかりと包み込んでいる。
「山神君って、ほんとに中途半端が好きね」
 両手を板壁につけたまま、淳子は言葉を投げてきた。からかうような、軽い口調だ。
「えっ、どういうこと?」
「ストッキング。たいがい、全部脱がそうとはしないんだもの。もしかしたら、その自覚がないのかな」
「中途半端にしたいワケじゃないって。これは、いろいろと考えた結果。膝のあたりまで下ろすのがいちばん都合がいいと思ったんだ」
「それって、女子とは違う感覚」
「そうかなあ……。考えてみろよ。くるぶしまで下ろしたら、今みたいに脚を広げられなくなるよ。不安定になるから、転ぶかもしれない」
「だったら全部脱がしてくれたらどう?」
「今は無理。時間がある時だけだな」
「まあ、そうね」
「時間がない時は、片脚だけ脱がせればいいかなって考えたけど、それは下品過ぎる。エッチ目的だけって感じもするから、ぼくにはできないかな」
「いい子ブリッ子しているな、山神君。畑の農機具置き場の小屋に女の子を連れ込むのは、エッチ目的じゃないっていうの?」
「わかったから、いじめないでくれよ。ずっと会いたかったんだぞ。淳子が熱海に帰らずに修善寺に居てくれたら、こんな風に誘うこともなかったんだ」
 熱海に淳子の実家はあるが、普段は修善寺の叔父さんの家から高校に通っている。長い休みになれば、実家に帰ってしまう。それが大地にとっては、寂しさと淳子への愛しさが最大になる時期でもある。
「毎晩、淳子のことを想像してたんだ。無茶苦茶にしたいよ」
「ダメ、やさしく触ってくれないと」
「うん、そうだね」
 太ももの裏側の肌理の細かい肌を撫でた。指の冷たさが伝わったのか、鳥肌がさっと立ち上がった。同時に、白い柔肌がわずかに桜色に染まった。
 舌を這わせた。
 ビクッと太ももが痙攣を起こしたように小刻みに震える。
 舌をパンティの股繰りまで上げていく。
 せつない吐息が洩れる。
 舌をパンティにつけ、唾液を塗り込み、湿った息を吹きかける。
 パンティはいつの間にか染みだらけになっていた。当然、大地の唾液だけのはずがない。淳子のうるみも加わっている。
「これ以上舐められたら、わたし、我慢できなくなりそう」
「ぼくだって同じだよ」
 大地はパンティに手をかけ、ストッキングのところまで引き下ろした。
「ああっ、恥ずかしい。わたし、お正月で太っちゃったの……」
「きれいだよ、とっても」
 むっちりとしたお尻は、左右の丘がくっついて割れ目は見えなくなっていた。
 大地は秘境を探るように、お尻に顔を寄せていった。

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